【馬路村】化粧品ブランド「umaji」を立ち上げサスティナブルな取り組みについて商品担当者にインタビュー

有機循環農法で安心安全なゆず作りを続ける「馬路村(うまじむら)」でゆず作りの背景や特長、さらに種子の美肌成分をふんだんに使用して生まれたスキンケアブランド「umaji」の誕生秘話などを伺ってきました。

目次

豊かな自然から生まれた美肌成分たっぷりのスキンケアブランド「umaji」

高く澄んだ空の下、急峻な山々に囲まれ、清流「安田川」が流れる自然豊かな高知県東部の山村「馬路村」。
ここでは15年以上も前から有機循環農法によるゆずの生産を行っています。

採れたてのゆずは食品や飲料はもちろん、通常活用が難しいとされていた種子の美容成分を活かしスキンケア開発にまでおよび、さらに搾り終わったゆずはすべて堆肥として畑に戻しています。

オーガニック栽培でゆずを生産し、さらにゆずを余すことなく活用することでサスティナブルな取り組みとなっている背景や強みを馬路村農業協同組合 加工販売課である御三方に伺ってきました。

左/加工販売課 化粧品 兼 研究係長 浅野 公人氏(あさの きみと)
中/加工販売課 課長 長野 桃太氏(ながの ももた)
右/加工販売課 化粧品係 本澤 侑季氏(ほんざわ ゆき)

Q1. ゆず作り、なぜ有機農法なのか?また有機農法の難しさを教えてください。

馬路村はもともとは林業が活発な地域でしたが、少しずつ林業が衰退し始め、2001年から農家一丸となってより安心して食べてもらえるゆずづくりを目指そうと、ゆずの有機に準じた栽培を始めました。また、未来へ残すものとして生きた土づくりを行っていきたいという思いもありました。

有機栽培の難しさは、除草剤、化学系肥料・農薬を使用できない分、栽培の労働力が必要となる点です。また、ゆず畑の頻繁な草刈り作業や、化学系の肥料・農薬に比べて生育がゆるやかになること、そして害虫などの被害も受けやすく、馬路村のゆずは一般的なゆずに比べて小ぶりです。そのため収穫量が少なく農家さんにすると大変なデメリットですが、安心安全なゆずをつくり、お客様に届けるという意義を共有すると共に、馬路村農協は1キロ当たりの価格を上げて農家さんに負担をかけない状況を作っています。

Q2. 馬路村と他のゆずとの違いはありますか?

他の産地との違いは、馬路村のゆずは小玉で皮が厚いのが特徴です。この皮の厚さが芳醇な香りを作っています。そして、村のゆず農家190戸全員で有機に準じた栽培に取り組んでいる地域は非常に珍しいと思います。とくに、馬路村の気候は昼夜の寒暖差が激しく、その分ゆずの皮に厚みがあり、香りの精油成分が豊富に含まれる香り高いゆずができると考えられます。

もともと馬路村ではゆずの文化が古くからあり、家の庭先に植えてあったゆずを搾ってゆず果汁を使った伝統料理など、昔からゆずが根付いていたのかもしれません。

Q3. ゆずをすべて使い切り、活用する馬路村農協の主だった取り組みなどあれば教えてください。

メインであった林業の衰退と共に何かしなければいけないという所からゆず作りが始まりました。ゆずの加工は、果汁・皮・種と大きく分けて3つに分類されます。

果汁はジュースや調味料に、皮はジャムやグラッセ・ゆず味噌など、ただ種は活用方法を見出せずにいました、しかし、高知大学などの共同研究の結果化粧品に使用できる事がわかりました。

これまで活用方法がなかったゆずの種には美肌効果が明らかとなり化粧品に、ヘタやじょうのうなどの搾りカスは村の製材所から出た木の皮などと混ぜ、発酵させて堆肥としてゆず畑へ還元しています。

Q4. ゆずスキンケア「umaji」ブランドが出来た経緯を教えてください。

種を廃棄せずに最後まで使い切るという事を取り組んだ結果、高知大学との共同研究おかげで種は化粧品としての活用が出来るとわかり、ブランドを立ち上げたきっかけとなりました。

ゆずの種が持つ力をはじめ、ゆずの香りや、森林、清らかな水、空気、馬路村のすべてをお届けしたいという思いで「umaji」が誕生しました。

Q5. 作っていて心がけていることはありますか?

製品に配合する素材となるゆずづくりから、可能な限り自分達の手で作ることで安心安全を心がけています。

製品づくりはゆずの種の機能性をベースとし、ハリ・ツヤ成分や保湿成分、肌なじみの良さなど、アイテムに応じて種の成分の力を活かして配合しています。

ゆずの素材を余すことなく使い、他のゆずの素材、例えば青ゆずであれば、青ゆずの成分が黄ゆずの成分に比べてポリフェノール含量が高いことがわかるとすぐに、リンクル化粧水・美容液などエイジングケアの商品を作るなどして、決して無駄なく徹底的に素材を活かすことを常に考えています。

Q6. 活用されていなかったゆずの種まで着目されたきっかけは?

前段でも述べたように、ゆずの素材を余すことなく使い切り化粧品にして売ることで、少しでも農家さんに還元することができるという思いが、種にまで着目したきっかけでした。

ゆず1個には種が25~30個と豊富に含まれており、廃棄量も多く何かに活用できないかと長年研究をしていました。漢方薬のような食用も検討しましたが上手くいかず、椿オイルなどのように種を搾ってオイルをとってみたことが大きな契機となりました。その後、ゆずの種のオイル「ユズ種子油」の肌への効果が明らかとなり化粧品への活路が見え始めました。

※高知大学農学部との研究・・・シミの原因となるメラニンを合成するチロシナーゼの酵素活性を阻害し、メラニン量が減少することが明らかとなりました。
※高知大学医学部との研究・・・アトピー症状のあるモデルにユズ種子油を塗布した結果、ヒスタミン量が顕著に低地を示し、痒みを軽減する効果が確認されました。また、正常繊維芽細胞の増殖促進、活性酸素消去能が明らかとなりました。

参照:研究内容|高知大学医学部 高知馬路村ゆず健康講座 (kochi-u.ac.jp)

Q7. スキンケアの中で特にお気に入りの商品を教えてください。

「クレンジングオイル」がお気に入りです。クレンジングオイルは、シードオイルを配合することで洗う時に皮脂まで取りすぎることがないよう防いでいます。

濃厚で爽やかなゆずの香りとサラッと肌馴染みがよく、脂肪酸が60%以上入っているため、優しく洗い流せて、潤いが残ります。洗顔のストレスがなく、毎日のお手入れが楽しみになるクレンジングオイルでとてもオススメです!

▲本澤さんおすすめの「クレンジングオイル 200mL」と「化粧水 うるおう 200mL」、「クリーム まもる 30mL」がセットになった「umajiはじまる ベーシックセット」¥5,800(税込)

生産地ならではの贅沢なゆず種子成分配合で「洗う」「うるおす」「まもる」の基本ケアができるベーシックセットです。大容量でたっぷり使える点も嬉しいポイント!

Q8. ここでしかできない「umaji」の強みを教えてください。

一番は国産で産地ならではの種の素材をふんだんに贅沢に使用し、スキンケア製品に配合できることだと思います。

クレンジングオイルだと、鉱物油でなく国産の植物油をふんだんに配合するのは通常ではかなり高価なものになってしまいますが、「umaji」のクレンジングオイルにはユズ種子油を30%以上も配合しています。

他にも、ハリ・ツヤ成分の種のエキスをたっぷりと配合した美容液や、青ゆずの有効成分を活かしたライン、ゆずの花の特別な香り、村の馬路温泉の泉質を活かした温泉化粧水など、馬路村だからこその、ここで育まれた恵みを余すことなくスキンケアに込められるのが「umaji」の強みです。

Q9. 今後出る新商品予定もしくは、考えている商品などありましたら教えてください。

今後はこれまでよりもさらに、馬路村の素材や自然由来の素材を使ったアイテム作りに取り組んでいきたいと考えています。

御三方、どうもありがとうございました。

秋を迎え、これから収穫を待つ畑には黄金色に色づきつつある香り高いゆずがみずみずしく揺れています。

馬路村の人々誰もが「みんなが喜んでくれるおいしくて安心安全なゆずを作りたい!」と口にする愛情のこもった想いと丁寧な作業の積み重ねが地球環境までも守っていることがこの景色からも見て取れます。

「余計なものは使わず、自然の力だけで育てる」それは手間がかかり大変ですが、この馬路村の愛情と豊かな自然が、自分にも地球にも優しいゆずを届けてくれます。

そんな背景を知ったうえで“本物”のゆずの香りやパワーを体感してみて下さい。きっと馬路村の優しさがあなたを包み込んでくれます。

Info.
馬路村農業協同組合
URL:https://www.yuzu.or.jp/

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