厳しい夏が過ぎ去り、秋になると涼しくなり過ごしやすい季節になります。しかし一方で、「なんだか体調がすぐれない」「元気が出ない」など、「秋バテ」と呼ばれる不調を訴える人が意外と多くなるのも秋の特徴の1つです。そこで、今回は秋バテを予防する対策と共に、秋が旬の食材を使用した、家で簡単に作れて体に優しいレシピをご紹介します。
[1]秋は不調が起きやすい?
◇秋バテの症状とは
秋バテは9月下旬からだんだん涼しくなってきたにも関わらず、「体がだるい」「疲れやすい」「食欲不振」「めまい」など、夏バテと同じような症状が起きることを言います。
◇秋バテの原因とは
秋バテの原因は、夏の疲れがきちんと解消されずに秋に持ち越されたことにより起こるといわれており、その中でも「冷え」による体の疲れが秋バテを招く大きな原因とされています。
夏は暑さを避けるため、冷房の効いた室内で長時間過ごすことが多く体が冷えてしまいます。また、冷たい飲み物を飲むことも多いため内臓も冷えてしまい、その結果、暑い夏にも関わらず実は体は冷え切ってしまっていることが多いと言われています。
このような夏の生活習慣による「冷え」が原因で自律神経の働きが乱れてしまい、その乱れが解消されることなく秋に持ち越されると、秋バテとしてさまざまな症状を引き起こしてしまうのです。
◇秋バテの予防&改善対策とは
秋バテを予防改善するために行ってもらいたいことには下記の2点が挙げられます。
▼夏に冷えてしまった体を温める
秋バテといわれる症状は、夏の体の「冷え」が原因となって起こることがほとんどです。体を温めることで自律神経のバランスが整うとともに、体温が1℃上がると5~6倍免疫力がアップ(1℃下がると30%以上ダウン)するともいわれているため、秋バテの予防・改善の対策のためには、まずは「体を温める」ということが大切です。
冷たいものを飲み過ぎない、ぬるめのお風呂にゆっくりつかる、足首・首・手首などを冷やさない、有酸素運動を取り入れるなど、自分に合った方法で体を温める工夫をしてみてくださいね。
▼旬の食材を摂り入れながらバランスの良い食事を心がける
今は生産技術などの進歩により、一年中いろいろな食材が手に入るようになりましたが、本来、食材の栄養価が一番高いのは「旬」の時期に採れるものだといわれています。秋に旬を迎える根菜類には、体を温める作用のある野菜もたくさんあるため、積極的に摂取するようにしたいですね。
[2]知っておきたい秋の味覚とは? その効果もご紹介
実りの秋といわれるほど、旬を迎える食材多いのが秋の特徴ですが、具体的にどのような食べ物があるのかをご紹介していきます。
◇魚介類
- 鯵(アジ)
- 秋刀魚(サンマ)
- 鰹(カツオ)
- 鮪(マグロ)
- 鯖(サバ)
秋は青背の魚が旬を迎えます。アジやサンマ、マグロ、サバには飽和脂肪酸の一種であるDHAやEPAが豊富に含まれており、動脈硬化や高血圧、心筋梗塞などの予防に効果が期待できると言われています。
また、魚には良質なたんぱく質が豊富に含まれています。たんぱく質は、体を機能的に働かせるために必要な「酵素」や「免疫抗体」を作る材料になるため、積極的に摂取することで、体のだるさや疲れやすさを解消する効果を期待できるといわれています。
◇きのこ類
- えのき
- しめじ
- エリンギ
- まいたけ
- しいたけ
きのこの一番の特徴は、低カロリーで食物繊維が豊富なことが挙げられます。そのため、積極的に摂取すると、食物繊維の働きにより腸内の善玉菌が増え、腸内環境が整うことで免疫力の維持・向上が期待できます。
また、きのこにはビタミンDも豊富に含まれています。ビタミンDにはカルシウムをサポートして骨や歯を丈夫にするという働きがあります。ビタミンDは日に当てることで増えるという特徴があるため、ビタミンDを摂取するという面では、生よりも干したきのこを食べる方が、効率的に栄養を摂取できるといえるでしょう。
◇根菜類
- さつまいも
- じゃがいも
- さといも
- 長いも
- にんじん
- ごぼう
- れんこん
根菜類は他の野菜と比較すると、糖質や食物繊維が豊富なのが特徴です。食物繊維の働きにより、腸内環境を整え免疫力を向上させる効果だけでなく、体を温める作用がある野菜も多いため、摂取することで体を内側から温める効果を期待することができます。
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[3]秋バテ予防におすすめの食べ合わせと、NGな食べ合わせとは?
◇おすすめの食べ合わせ
▼サバとしょうが
サバにはエネルギー代謝を活発にするのに必要なビタミンB群が豊富に含まれており、また、しょうがにも加熱することで体を温める成分が含まれているため、一緒に調理することでより効率良く体を温める効果が期待できるといわれています。
▼豚肉ときのこ
豚肉は糖質をエネルギーに変えたり、疲労回復に効果的といわれるビタミンB1を豊富に含んでいるため、秋バテの予防・解消のためには積極的に摂取したい食材の1つです。しかし、肉ばかり摂取していると、腸内環境が乱れ悪玉菌が増える原因となってしまうのは有名な話ですね。
そこで、豚肉を摂取する際には秋が旬のきのこも一緒に摂取することをおすすめします。先に説明した通り、きのこには食物繊維が豊富に含まれているため、摂取することで腸内環境を整える効果を期待することができます。腸内環境を整えながらおいしく健康的に豚肉を摂取しましょう。
▼さつまいもと発酵食品
さつまいもには食物繊維が豊富に含まれているため、腸内環境を整える効果が期待できます。また、発酵食品には酵素が豊富に含まれており、消化機能を高め、腸内環境を整えてくれる効果が期待できるため、一緒に摂取することでより効率的に腸内環境を整えることが可能になります。
[4]食欲の秋に、体調を整えるために気をつけたい4つのこと
秋は旬を迎える食材も多く、その中には糖質を多く含む食べ物も多いため、気をつけないとあっという間に適正な摂取カロリーをオーバーしてしまうことにもなりかねません。そこで、ここでは秋バテに打ち勝ち、食欲の秋に健康でヘルシーな生活を送るために、食事で気をつけたい4つのポイントについて説明していきます。
◇初めに生野菜から食べるようにする
食事の際は、まず初めに生野菜を食べることで、消化酵素の働きが活発になるため、後から体内に入る炭水化物、たんぱく質などの栄養素を効率的に分解することが可能になります。また、生野菜などに含まれている酵素は、空腹時に摂取することでより吸収率が高まるといわれているため、酵素を効率的に体内に取り入れるためにもおすすめの食事法といえるでしょう。
食事の初めに野菜で満足感を感じておくことは、ストレスを感じることなく食べ過ぎを防ぐためにもおすすめです。
◇酵素を含む食材を積極的に摂取する
納豆、味噌、醤油などの発酵食品には酵素が豊富に含まれています。食欲の秋は、消化を助ける働きが期待できる「酵素」を含む食材を積極的に摂取することで、摂取した栄養素を効率的に体内に吸収する手助けとなります。発酵食品を無理なく食卓に取り入れるためにも、ヘルシーな和食中心の食卓を心がけることをおすすめします。
◇根菜類は調理法に気を付ける
秋に旬を迎える根菜類は糖質を多く含んでいるものが多く、野菜の中ではカロリーが高いのが特徴です。調理の際には揚げ物などに利用することは極力避けるようにして、少量の油で炒める、煮込む、蒸すなどの方法で調理することをおすすめします。
◇よく噛んで食べる
早食いは消化不良を引き起こし内臓に負担をかける危険性があります。秋は「秋の味覚」といわれるほどおいしいものが多い季節だからこそ、いつも以上に一口一口しっかり噛む習慣を身につけ、必要以上に食べ過ぎるのを防ぐことが大切です。
[5]管理栄養士がおすすめする秋におすすめの簡単レシピ3選
◇さつまいもごはん
<材料>
- 米 3合
- さつまいも 1本(約200g)
- みりん 大さじ1
- 塩(自然塩) 小さじ1
- 淡口醤油 小さじ1
<作り方>
- さつまいもはよく洗い、皮ごと1cmくらいのダイス状にカットする。カットしたさつまいもはサッと水にさらしておく。
- 米をとぎ、ざるにあげ10分ほど置く。炊飯器に米、分量の水、みりん、塩、うす口醤油を加えてひと混ぜする。
- 2の上に1を広げて置き、普通どおりにご飯を炊く。
- 炊き上がったら、全体を底からサックリと混ぜ合わせたら出来上がり。
◇サバの味噌煮
<材料>
- サバの切り身 2切れ
- しょうが 1かけ
- 水 1/2カップ
- 酒 大さじ3
- みりん 大さじ2
- 味噌 大さじ2
<作り方>
- ボウルにサバの切り身を入れて、約90℃の熱湯をかけます。切り身全体が白っぽくなるように菜ばしでかき混ぜます。差し水を加えて触れる熱さになったら、ボウルの中で切り身を洗い、取り出してキッチンペーパーなどで水気をきる。
- 生姜はよく皮を洗い、約2mmの輪切りにする。
- 鍋かフライパンに2と水、酒、みりんを加えて火にかける。
- 沸騰したら1の皮面を上にして入れます。沸騰したら、アクを取り除きます。
- アクが取れたら、一度火を止めて、煮汁を少し取り出し、別のお皿に入れて味噌を溶かす。
- 溶かした味噌を加えて、再び火にかける。
- 沸騰したら火を弱くして、落し蓋をして約10分煮詰める。その後、落し蓋を外して約5分煮詰めてとろみがついてきたら出来上がり。
◇蒸し豚きのこ
<材料>
- 豚ももスライス 200g
- えのき 1パック
- しめじ 1パック
- 白菜 1/4カット
- 醤油 お好みで
- 柑橘類(かぼすなど)お好みで
<作り方>
- 豚ももスライスを食べやすいように2等分もしくは3等分にカットする。
- えのきは石づきを落として半分に、しめじは石づきを落として手でバラバラにほぐしておく。白菜はよく洗い、葉の部分はざく切りに、芯の部分は約1cmの細切りにカットする。
- 蒸し器に耐熱皿を入れ、白菜→えのき→しめじ→豚ももスライスの順に並べ、火が通るまで蒸す。
- お好みで醤油やかぼすを絞ってかけたら出来上がり。(生の柑橘類がなければ、レモン果汁などで代用可能)
[6]しっかりと食材を選んで、不調の起きやすい秋においしいものを満喫して楽しもう
秋バテの予防・改善には、まずは体を温めることが大切です。たくさんの秋の味覚を上手に活用して、おいしいものを満喫しながら不調に負けない健康な体を手に入れましょう。